愛すべき銃声と美しき世界の没シーン

※台詞オンリィ
※台詞と台詞の間のキャラクタの動きは、想像しつつ読んでいただければと思います。あなたの想像力が必要です(笑


以上、二点が許せる方はスクロールしてご覧ください



出てくるのは、リボーン、綱吉(27歳)、綱吉(18歳)、骸、ランボ、ベル、スカル、了平、雲雀(電話音声のみ)…のはず。


(ちなみに、立花の執筆スタイルは、こうして台詞を書いて話の流れを決めて、台詞と台詞の間の文章を埋めていく感じです。その作業中に台詞を追加したり削除したりします)



























「ワーオ、ほんとに元に戻ってる! ツナヨシー、元気ィ?」


「ベル! ほんとに来てくれたんだね、ありがとう、忙しいのに」


「いいんだってー。王子はいつだって、ツナヨシのためなら、暗殺のひとつやふたつ、スクアーロに押しつけて来ちゃうからさ」


「……ヴァリアーの鮫は相変わらずな待遇な訳だ」


「スカルも来てんだ。先日はどーも」

「こちらこそ」



「沢田が世話になったな、ベル」


「あ。リョーヘイ、もう動いても平気なのかよ?」


「シャマルには安静にしてろ!と言われてるんだが、ベッドの上にいるのは退屈で退屈で仕方なくてな! どうにか屋敷内を車椅子で移動するくらいならいいと許可をもらった」


「……肋骨折れてんのに動いて平気なの?」

「俺は鍛え方が違うんだぞ!」

「ま。いいや。おかまがね、あとで見舞いに来るってさ」

「お。ルッスーリアがか! なにか美味いものでも作ってきてくれそうだな! 期待して待っていよう」



「なんか、大人しいね、ランボ」


「なによ、なによ。もしかして、俺のこと怖かったりする?」


「なんですかもう。別にベルさんのことが怖い訳じゃありませんよ。おれがしゃべらなくても、みんなが喋ってくれるんで、黙ってただけです」


「あんまり活躍できなくて、すねてんだね。いいこいいこ、ランボ」


「子供扱いしないでくださいよ、ボンゴレ」


「十歳のおまえ、可愛かったんだよなあ。――五歳のリボーンも、超絶可愛かったけど」


「なに言ってやがる。オレはいつだって可愛いだろ?」


「うん。可愛いよねえ、おまえ」


「はいはい。のろけはいりません。ごちそうさまです」



「五歳のリボーンにめろめろってことはさー、ツナヨシは、昔からしょたこんだったんだ」


「ぶはっ、なんか、胸のあたりに刺さったんだけど、ぐさっと。……でもまあ、五歳にむらむらしたら、もう人生おしまいかと思ってるあたり、自覚ありすぎて、自分でもちょっと病気かなーとは思ったけど……。ま、仕方ないよね。オレ、リボーンの見た目ももちろん好きだけど、リボーンの中身がいっとう好きだからさ、なんて言い訳くさいかな?」


「ま。うちのおかまの趣味よか、いいんじゃね? 生きてる人間のこと愛せるんだからさぁ」


「ははは、確かに」



「言っとくが、あと五年もしたら、年齢なんて関係ねーぞ」


「十九歳と三十二歳か。ま、若いツバメってことで、いいんじゃないか?」



「十九歳のリボーンかー。なんか想像するだけで、ぞくぞくするなあ」



「想像じゃなくて、妄想だろ、あんたの場合」


「スカルも十九歳になったらもっと格好良くなるだろうねえ」


「オレのことは関係ないだろ!」



「……スカルはあれだね、うちの鮫と同じ匂いがすんね」


「あー、あれだな。いじられ体質という奴だな!」


「笹川了平! あんたもどーでもいい時に限ってひらめかなくていいんだぞ! こら!」

「あ、コロネロが混じってる、スカルってば。かーわいいー」



「泣いたら負けだよ、きっと」


「泣いてなんかねぇ! アホッ」






「騒々しい声が部屋の外にまでまる聞こえですよ」


「あ。むくろー、待ってたんだぞ」



「綱吉くんが待っていてくださるのは、とても嬉しいですけれど。――なんで、ここにフルメンバーがそろってるんですか?」




「だって、仕方ないじゃん。みんな、昔のオレに会いたいっていうんだもの」


「なんで、みんなに言うんですか……」


「オレがいない間の話を聞いたらさ、みんなに世話になってんだもの、『オレ』。お礼言うのなら、一度にがいいだろ? ディーノさんとロンシャン、雲雀さんとか獄寺くんとかも都合つかなかったから仕方ないけど……、まあ、うん、『オレ』もさ、きっといろいろと気にしてるかもしんないし、みんなの元気な姿見ればさ、安心できるだろ?」


「まあ、そうかもしれませんが……」


「リボーンはいるだろうとは思ってましたが、お邪魔虫がおおすぎます。最悪です」


「お邪魔虫だなんて失敬ですね、骸さん」
「そうそう。ムクロだけ特別っての、ずるくない?」
「そうだぞ! 俺だって極限に十八の綱吉の元気な姿を見たいぞ!」


「お。なんだか、十八歳の『オレ』大人気じゃない?」


「おまえみたいに、スレてないからだろ」


「スカルー、あんまり可愛いこというなよ。――襲うよ?」


「そういうところが嫌なんだよ、おまえは!」



「とにかく、時間は十分だけだぞ」


「十分経ったら、またバズーカを撃つ。そうしたら、このバズーカはすぐに破棄する。それでいいな?」


「うん。――でも、バズーカはリボーンじゃなくて、了平さんにお願いします」


「なんでだ?」


「……おまえ、気が短いから心配なんだよ。オレじゃなくて、怒って骸のこと撃ったら大変だろ。過去のこいつ、まだ水牢のなかだし、まだ世界征服諦めてないし、いろいろ面倒くさいから」


「人の過去を面倒くさいで片づけないでくださいよ」


「……現実でも、おまえは面倒くさいだろ」
「……喧嘩、うってるならかいますよ?」


「リボーンも骸もやめろって! おまえら、ほんと、くだらないことで口喧嘩しすぎ! 自重して!」


「………………」
「………………」


「……子供かっ」





「了平さん、お願いします」




「おう! 極限に任せておけ!」









                        ×××××








「え。あ――」




「骸!」




「よかった!! 生きてたんだな! よかった、よかった、よかった!」




「はい。生きて戻ってきました。あなたのために。――そして」



「あなたから、指輪を返してもらいたくて、こうして再び未来へ招待したんですよ? さあ、僕の、霧の守護者の指輪を返してください」





「え? 指輪、指輪って、あれ? 雲雀さんに渡したはずだけど……?」


「は?」



「……あれ? まだ、返してもらってないの?」




「ちょっと待ってろ」




「――雲雀か? いま、いいか?」

『どうかしたの?』

「おまえ、ツナから骸の指輪、預かってねぇか?」

『……あー……。そういえば、僕が預かってたんだった』

「……そうか。預かってっか」

『あんまり嫌なことだったから、忘れてたみたい。なにか不都合でもあった?』

「いや、オレは別に構いやしないさ。仕事が終わったら、本邸に立ち寄ってくれ」

『分かった。それじゃあ』

「ああ、うん……、頼んだ」




「持ってるそうだ」




「……綱吉くん、僕はいま、激しい絶望感のせいで死んでしまいそうです……」



「え? えっ!? なに、どうしたの? 骸。……泣いてるの?」



「いいよいいよ、そんなパイナップルのことなんて放っておきな、ツナヨシ」


「ベル」


「にしし。よかったね。無事に戻れて」


「って、また未来に来ちゃってるけど――。うん、ありがとう。ベルのおかげでいろいろ助かったよ」


「うん。うん。ツナヨシはやっぱり笑ってなきゃねえ」


「そうですね。そのことに関しては、おれも同意します」


「ランボ! ――よかった。こっちにきて、最初のころに会っただけで、あのあと全然会えなかったら、どうしたのかと思ってたんだ。元気そうで、よかった」


「心配かけてしまいましたね」


「沢田!」


「了平さんっ。けっ、怪我、まだ酷いんじゃあ?」


「シャマルには小言を言われるんだが、じっとしていられんからなあ」

「あはは。それは、了平さんらしいかもしれない。――あ、スカル、スカルも来てくれたの?」


「じ、時間があったからな」


「ありがとう。わざわざ、時間を作ってきてくれたんだね」


「違う、……こともないが」


「極限に素直でないな、スカルは。もっとストレートに感情を表現すればよかろう! 沢田に会いたかったんだと!」


「ぶわっ、なに勝手に人の心の声を代弁するんじゃない!」


「代弁ってことは、思ってんじゃん。スカルってば、むっつりぃー」


「ベル!!」



「みんな、元気そうでよかった」





「綱吉くん」


「わっ、骸、なんだよ、どうした? うしろから急に抱きついてくるなよっ、おまえ、身長あるから重いッ」


「いいじゃないですかー、落ち込んでる僕を慰めてください。頭、いいこいいこしてください」

「はあ? えーと、こう?」


「なに、素直に従ってんだあ、ボンゴレ!」


「おお。キレのいいつっこみなんじゃないのー、スカル」



「――う。……リボーン、なに、怒ってんの?」


「離れろ」



「僕と綱吉くんが仲良しなのが気にくわないんですよ。了見の狭い奴です」


「……あ! そうか、……あー」


「どうかしましたか?」


「あ、あの、骸、ちょっと離れてもらってもいい?」


「は?」



「オレ、リボーンが怒ってる理由、分かるからさ」

「え」
「分かるって――」



「はあ……。仕方がありません。綱吉くんの命令ならば、僕は従うしかありません」




「リボーン」


「なんだ?」


「未来のオレといられて、幸せ?」


「なんだ、その質問」


「オレはね、向こうの世界で、おまえと一緒にいられて、幸せだよ?」



「わひゃー。愛の告白なんじゃないのー」

「極限にストレートな言葉だな」

「……素直さってのは、ときどき罪だよな」

「……ボンゴレらしいといえば、ボンゴレらしいですけどね。あのまっすぐさは」



「うるせえぞ、外野」




「幸せかどうかなんて、確認するまでもねえだろ。おまえが幸せなら、オレはそれでいい」



「……素直じゃないなあ、こっちのおまえもさ」





「骸。さっきは、離れろなんてきついこと言って、ごめん。……オレ、おまえにはすごい感謝してるんだ。こっちにきたオレのこと命がけで守ってくれたんだもの。……やっぱり、おまえは悪い奴なんかじゃないよ。ありがとうね、骸」




「いいえ。僕は僕のために動いていただけですから」


「え?」


「僕は、あなたを失いたくない僕のために、動いてただけですよ」


「……骸……」




「十分経ったぞ。了平、撃て」



「ちょっと! いま、すごい良いシーンじゃないですか! 余韻とか、こう!」


「うるせえ。いま、わざといい雰囲気作ったろ、てめぇ」


「ええ。悪いですか!」


「てめえのそういうところがオレはな……、本当に殺してやりてぇくらい苛々するんだよ」


「はあ! 奇遇ですねえ! 僕もあなたのそういう人を邪険するにする態度に接するたびに殺したくなりますよ!」



「リボーン! 骸! え、ちょ! なんだよ! 二人とも!」


「ツナは黙ってろ!」
「綱吉くんは黙っててください!」



「ひゅーひゅー、面白いんじゃないのー」


「ベルさん、面白がってる場合ですか」


「二人とも、日頃からお互いに鬱憤が溜まってそうだからな……」


「りょ、了平さん! どっどうしたら!?」


「気にすることはない。もう一人の『おまえ』なら、どうにかできるさ」


「そうなんですか? ……じゃあ、オレ、交代しようかな……」


「沢田。元気でな。身体を大事にな!」
「じゃあな、ボンゴレ」
「お元気で、ボンゴレ」
「ツナヨシ、そっちの俺とも仲良くしといてね」


「さようなら。みんな、元気で」




                          ×××××



「――っと! うぉい! なにしてんだ、お前ら!」



「うるせえ、ひっこんでろ、ツナ。ゴキブリみてぇな生命力のこいつが、どこまでやったら死ぬのか確認してるとこなんだ」


「大人しくしていてください。僕、これから前世からの仇敵を討ち滅ぼすところなんで!」



「どっちも適当なこと言って殺し合いなんてするんじゃない!!」



「リボーン! 骸! それ以上やったら、オレ、お前等に半年から一年かかる長期任、務言い渡すぞ!」


「あん?」
「はあ?」


「プラス、オレの護衛から三ヶ月間、外すからな!」


「あぁん? ツナ。おまえ。オレなしで数ヶ月ももつのか?」


「私怨で殺し合いするのを許すよりはマシ」


「言っておきますけど、綱吉くん、因縁つけてきたのはあっちですよ」


「だとしても、喧嘩は両成敗。――さあ、それでもやる? やるんなら、どうせだからオレが相手になってあげるよ? 二人とも、ささいなことで殺し合いしたくなるほど鬱憤が溜まってるんでしょう? 発散するためだったら、オレ、つきあってあげるけど?」


「……はっ! ……馬鹿らしい」


「わりにあいません」



「よしよし。二人とも、良い子!」






「……早い」


「リョーヘイの言ったとおりじゃん」


「だろう? 暴走してる奴の手綱を操る術に関しては沢田の右にでるものを俺は知らん」


「……えーと。明らかに、その『暴走してる奴』ってのに、了平さんも入りますよね?」


「そうだな!」


「ほがらかに、笑うな。そこは遠慮がちにするもんだろ、笹川了平」


「ボンゴレはくせ者ぞろいだかんねー、仕方ないんじゃん」



「ヴァリアーの人に言われたくないですよ、ベルさん……」