××注意書きです×× 以下には、洋/画のタ/ー/ミ/ネ/ー/タ/ー/2の設定をパ/ロ/デ/ィにしたお遊び文章があります。 序盤のあたりだけですが、ネタバレはネタバレなので、映画を知らない方は、その旨をご了承のうえで読み進めてください。 あんまりにも映画の萌えと燃えがすごすぎて、もぎゃっと書いてしまいました。 ……まあ、配役はあれです。 立花の趣味が丸出しです。 いろいろ、頭の悪い感じな、シーンの切れ端ばっかですが、どうしても書きたくて書いてしまいました。 少しでも、「この設定、萌えるかもしれない」と思っていただけたら嬉しいです。 ……誰か、続きを、書いてくれればいいと思います(笑 パロディでもいいよ!文句言わないぜ!という心の広い方は、スクロールしてご覧になってください。 長々と注意書きすみません。 |
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漆黒のスーツを身にまとった長身の男は、驚いて立ち上がることすら出来ない綱吉を無表情に見下ろしている。綱吉が今まで見たこともないような、綺麗な顔をした青年の手には、先ほど轟音を鳴り響かせていた大型の拳銃が握られている。 「おまえを守るように命令されて来たんだ」 「…………いったい、誰にそんなこと……」 「『未来のおまえに』命じられた」 そこまで言ってから、彼は地面にしりもちを付いている綱吉に向かって手を差し伸べる。 「オレの名前はリボーンだ」 にこりともしない綺麗な男――、リボーンの手を綱吉はおそるおそる握った。 研ぎ澄まされた冷たい刃物のような容姿とはうらはらに、握った彼の手は人間のように温かかった。 ××××× 「君を殺すことこそ、僕が産まれた理由なんです。だから大人しく、僕に殺されなさい」 優しい表情、優しい声音で青年は続ける。 友好的な表情に似つかわしくない、見たこともないような三又に分かれた槍の切っ先を綱吉の方へ向け、ゆっくりと首をかしげる。さらりと揺れる黒い前髪の合間で、爛々と朱色と青色の瞳が狂気的にきらめく。 綱吉は口の中にたまってしまった唾液を飲み込む。 逃げなくては。 ほんとうに、殺される。 本能的な恐怖にかられ、綱吉は全身に緊張を行き渡らせ、いつでも逃げ出せるようにゆっくりと呼吸を繰り返す。 オフホワイトの、丈の長いコートの裾をなびかせながら、男は片足を引いて槍を構える。口元には微笑、目元にははっきりとした殺気を含ませ、――彼は言う。 「一瞬で終わらせてあげますよ。――さあ、天国へお逝きなさい」 ××××× 「恭弥兄さんのこと、助けに行かなきゃ! オレ、オレ、兄さんのこと、ずっと頭がおかしいんだって思ってたのに、……兄さんが言ってたことは本当だったんだ……!」 「それは出来ない。六道骸が雲雀恭弥を利用する確率が高い以上、恭弥に接近するのは避けた方がいい」 「駄目だ! 恭弥兄さんを見捨てるなんてことできない!」 瞬きの少ないリボーンの黒い瞳に、激昂する綱吉の姿が映っているのが見える。己の顔が青ざめ、引きつっているのを彼の瞳に見ながらも、綱吉はこみ上げてくる感情に突き動かされるように叫んだ。 「お願い! リボーン! 恭弥兄さんをおいてオレだけ逃げることなんて出来ないよ!」 リボーンは形の良い唇を引き結んで、綱吉を見下ろして黙っている。伝わらない感情の温度差にじれて、綱吉はリボーンのスーツの胸元を掴んで激しく揺さぶった。 「リボーン! 頼むよ!!」 リボーンは無表情ながらも、かすかに眉を寄せて、首をわずかに傾ける。それだけでも、人形のようだった数秒前と比べれば、ずいぶんと人間的に見えた。 「それは、命令か?」 「え?」 「命令ならば、オレは従うしかない」 綱吉は一瞬で考え、そして勢いのままに叫んだ。 「そう! これは命令だ! オレと一緒に、恭弥さんを病院から助け出しに行くんだ!」 「――そうか。分かった」 ゆっくりと頷いたリボーンは、綱吉の肩を掴んで滑るように顔を近づけてくる。勢い任せにしがみついていた綱吉は、身をひくタイミングを失い、息がかかるほどの近さにあるリボーンの美しい顔立ちを前に思考が停止する。 「おまえと一緒に、雲雀恭弥を助けに行こう」 低く囁いたリボーンの顔に、微笑らしきものがうっすらと浮かぶのを眺めながら、綱吉は背筋をかけのぼってくる寒気のようなものをおさえるために、細長く息を吐き出した。 ××××× 「馬鹿な子だ」 「だって、オレ、兄さんをおいていけなかったんだ……」 「君の存在がどれだけ大事なものなのか、君は本当に分かってないんだね」 吐き捨てるように言った恭弥は、涙でぐしゃぐしゃの顔をしている綱吉の身体を拳銃を持っていない左腕の方で抱き寄せた。綱吉は両手で恭弥の身体をつよく抱きしめて、胸元に顔を埋める。数年ぶりに触れた兄の体つきは、離れてしまった歳月を感じさせるほどに成長し、まるで大人のように思え、綱吉は戸惑ったように恭弥の顔を見上げた。 恭弥は綱吉と目が合うと笑う。 砕け散った硝子の破片で傷ついたのか、恭弥の左頬に細長く赤い傷跡がはしっている。笑った瞬間に痛みが走ったのか、恭弥はすぐに顔をしかめ、傷を気にするように片目を細めた。 「それで?」 疑わしげな目で、綱吉の背後に立っていたリボーンを睨み付けた恭弥は、拳銃を握っている右腕を跳ね上げ、銃口をリボーンへと向ける。 「こいつは、誰?」 綱吉はとっさに恭弥の腕の中でもがき、彼の右腕を両手で掴んだ。 「駄目! 兄さん、こいつは味方なんだ!」 「味方?」 「そう、味方! ここに来るときも、オレのこと守ってくれたんだ」 「ふぅん」 まるで信じていないような声音で恭弥は相づちを打つ。綱吉はゆるんだ恭弥の腕から抜け出して、動力の切れた人形のように棒立ちになっていたリボーンの腕を掴んで隣に立った。 「名前はリボーン。『未来のオレ』から言われて、オレのことを守りに来てくれたヒットマンなんだ。ほら、リボーン、あいさつ!」 「――よろしく。雲雀恭弥。オレはリボーンだ」 抑揚のない声で言って、リボーンが右手を差し出す。 恭弥は差し出された手を見つめてから、リボーンの顔へ視線を移す。 「綱吉を守るんだね?」 「ああ」 「君の生命と引き替えにしても?」 「ちょ、恭弥兄さんッ」 「ああ」 ためらいもなく、リボーンは答える。右手を差し出したまま、リボーンは綱吉のほうを見た。その瞳が、ほんの少しだけ優しく揺れたように見えたが、それは一瞬過ぎて、瞬きをした刹那には優しいひかりは消え失せてしまう。 「オレの存在の理由は沢田綱吉を守ること以外にはない。そんなに警戒することはないぞ、恭弥」 リボーンのことを観察するようにジッと見つめていた恭弥だったが、ふいに表情をゆるめる。 「面白い。その言葉を違えた時は、僕がこの手で君を終わらせてあげるよ」 面白そうに言って、恭弥は差し出されているリボーンの手のひらを握りしめる。 「――自己紹介も済んだし、行こうか」 握手をすませた恭弥は、綱吉の腕を掴んで歩き出す。もつれそうになる足を動かして歩きながら、綱吉は隣を歩く恭弥の顔を見上げる。 数年ぶりに見た兄の横顔は大人びていて綱吉が知らない人間のようだった。それでも、きつくつり上がった目元だけは昔と変わりない。綱吉の視線に気が付いた恭弥が目を瞬かせ、わずかに双眸を細める。 「安心して良いよ。綱吉。僕がいる限り、君は絶対に傷つけさせない」 「恭弥兄さん……」 「あなたもそうするつもりなんでしょう? リボーン」 「もちろんだ」 綱吉と恭弥の斜め後ろを歩きながら、リボーンは右手に持っている拳銃を顔の横に持ち上げる。 「この生命尽きるまで、オレはツナを守るぞ」 恭弥はリボーンの答えを聞くと、満足そうに頷きながら艶やかに笑う。 「良い答えだね。素晴らしい」 奇妙なほど静まりかえった病院の廊下を歩きながら、綱吉はこれから始まる予想もつかない未来に思いをはせ、どきどきと高鳴る胸を洋服のうえから右手でおさえた。 『ここまでです。おつきあい、ありがとうございました(笑)』 |