05:信仰に似た 全てを投げ出してもかまわない想い 獄寺隼人の朝は早い。 とはいえ、守護者のなかで一番の早起きは笹川了平だった。彼は朝日が昇る前にジャージに着替えて市街地にランニングに出かける日課なのだ。獄寺が起きるのは彼が市街地を一回りして帰って来る時間と同じくらいだ。 ベッドから出て顔を洗い、ヒゲを剃って、ワックスで髪を整えて両手を洗う。ウォーキングクローゼットに行って、スーツとワイシャツとネクタイ、そのほか装飾品など、その日の着替えを手早く選んでベッドの上に放る。 着替えは数分ですませ、腕時計をしながら部屋を出る。 時間は朝の六時。 朝食はいつも八時に始まる。 まずは玄関に向かう。警備体制は毎日確認しなくては意味はない。交代制で屋敷を見回っている部下の何名かとすれ違う。立ち止まって一礼する彼等に、獄寺は一瞥だけのあいさつを返した。螺旋階段を下りてホールを通り抜けて玄関へと近づく。 豪奢に彫り物がほどこされた大きな観音開きの扉の左側だけを開ける。その先には広大な緑の庭園が広がっている。車のためのアプローチの中央で柔軟体操をしている了平がいた。これもいつもの朝の光景である。 「お。獄寺か。おはよう! 今日もいい天気になりそうだな!」 両足を広げて柔軟運動をしながら了平は爽やかに笑う。 「あんたはいつも元気だな、笹川」 「一日の始めに元気がなくてどうする! それに早朝の静かな街を走るのはとても気持ちがいいんだぞ、おまえも一緒にどうだ?」 「遠慮する」 「そうか! 残念だな!」 気を悪くする様子もなく言って、屈伸をしていた了平は背筋を伸ばして姿勢よく立った。両の拳を握って、身体の方へ引き寄せ、わずかに上半身を前に倒してファイティングポーズをとる。スイッチが切り替わるように了平の顔から笑みが消え、瞳に静かに燃える闘志が宿る。フットワークも軽くリズミカルに拳を繰り出す了平に背を向けて獄寺は屋内へ戻る。しばらくは了平が玄関にいるのならば、ある程度の敵襲は彼一人で充分である。 了平と毎朝顔をあわせるたびに思うことが獄寺にはあった。 早朝は、警備担当の部下たちが交代が近くなって油断しやすい状態になる。朝の五時以前には起床をしている了平はランニングを終えたあとも、屋敷の敷地内で柔軟運動などをして過ごし、食事が開始される八時までには自室でシャワーをあび、清潔なスーツに着替えてやってくる。そのころには、夜番をしていた部下達と日中の警備にあたる部下達の勤務交代が終わっている。 警備が油断しそうな時間だということを考慮して、了平が誰よりも朝早くに起きて、門前でトレーニングしているのだとしたら、獄寺のなかで了平の人物像を修正する必要がある。――とはいえ、あの了平にそれだけ気を回すという考えがあるとは到底思えなかった。 玄関のチェックが終わったあとは、屋敷の中を見回って歩く。 ボンゴレには数多くの邸宅がイタリア全土にちらばっていて、そのどの屋敷にもボスと守護者たちの部屋が設けられている。主に使用している屋敷は交通の便が良い中央都市にあったが、仕事が忙しくない場合は郊外の通称『私邸』とよばれる別荘があったりもする。今日は中央都市にある邸宅に綱吉も守護者たちも寝泊まりしている。基本的にボスが滞在している屋敷に守護者達は戻るようになっているし、大部分のメイドや執事たちなど、屋敷に仕えている人間たちもおおよそのスケジュール通りに勤務先が変わったりもする。 まずは守護者達の部屋がある棟は省き、普段綱吉が仕事をしている棟を中心に歩いて行く。彼がその日通りそうな廊下に何か普段と違うものが置かれていたり、不審な変化があったりしないかを見落とさないように確認していく。 途中、急なスケジュールの変更の電話が獄寺の携帯電話に入り、スケジュールの確認のために執務室に立ち寄った。その際、偶然にも机の上のファイルを落としてしまい、中身が散乱してしまった。慌てて拾い集めたそれらは、数日前に発覚した他ファミリィが経営している孤児院についての報告書だった。人身売買の疑いがあるために調査中で、出来るだけ素早く孤児院の買い取りや、売買ルートの特定が必要でもある。各方面への説明や動かせる資金などが細かくメモされている用紙が何枚もある。 問題の発覚から二、三日しか経過していないのに、異常な量のメモとレポートだった。獄寺はひっそりと息をついて、どうにか時間をつくって綱吉を仮眠させなければと思った。 巡回は問題もなく七時を過ぎるまで続けられた。 見回りが終わったあとは厨房へ向かう。陽気なコックたちは朝から元気に声を張り上げて料理を作っている。料理長の男が特に陽気で朝から鼻歌どころか、アカペラで歌を歌いながら作業をしていることが多い。彼は獄寺が来るといつもよく通る声で「オッハヨォウ! ハヤト!」とアクセントの間違った日本語のあいさつをしてくる。初めは無視をしていた獄寺だったが、あまりにもしつこいので――というか彼の暑苦しいほどの笑顔に抵抗する気力を失い――、彼の挨拶には答えることにしている。 陽気な料理長から綱吉が口にする食事を一通り、少しずつ取り分けてもらい、それを毒味をする。綱吉からは、作った本人の目の前ですることではないのではと言われたり、獄寺が毒味をすることはないのではないかと言われたりしたが、調理場で毒味をすることは周囲の人間への警戒をしているというアピールにもなるし、獄寺が毒味をすることは主に自己満足のためだけだった。 食事が取り分けられ、並べられている間、獄寺は厨房のすみの椅子に座っている。相変わらず、口元には火のついていない煙草をひっかけたまま、せわしなく動くコックたちを眺めていた。しばらくすると、二十人程度の人間が一度に食事ができるほど広いテーブルに朝食は運ばれ始める。 そのころ、食堂に姿を現すのは、決まってランボか、もしくは山本だった。彼等のどちらかに食堂の監視――といっても差し支えないだろう――を任せて、獄寺は綱吉の私室へ向かう。 綱吉の私室の隣、扉を一枚隔てただけの部屋は、リボーンの部屋だ。彼は四六時中綱吉の側を離れず、影のように存在していた。彼は綱吉の元・家庭教師であり、凄腕の殺し屋でもあり、守護者という役割からは逸脱した存在である。年下であろうと、見た目がまだ少年であろうと、獄寺も彼にだけは頭が上がらない。 獄寺は二階に上がる螺旋階段を上りながら思う。 リボーンの立ち位置こそ、右腕と呼ばれる人間ではないだろうか、と。 綱吉と出会って、呪いが解けるかのように獄寺は変わることが出来た。その日から、綱吉の、十代目の右腕になるべく、獄寺はあらゆる困難を乗り越えてきたつもりだ。有能になるための努力は惜しまなかったし、苦労でもなんでもなかった。しかし、どんなに獄寺が頑張ろうとも、綱吉のなかのリボーンの存在に勝てたことはないような気がした。 綱吉という人間の根底には、いつもリボーンという存在が鎮座していて、獄寺は立ちつくしている場所から動けない。何度ひがんだか分からない。どうしてリボーンよりも先に獄寺が出会うことができなかったのか。そんなふうに考えることが昔は度々あった。 鬱屈とした思いに陥るたびに、獄寺は綱吉に出会ったときのことを思い出す。そうして何度も何度もこみ上げてくる嫉妬を洗い流してきた。 今では、それほど卑屈には考えないようになった。 リボーンほどでないにしろ、綱吉からは信頼され、頼りにされている実感が獄寺にはある。 考え事をしながら歩いているうちに、綱吉の私室の前に到着する。いつもならば、リボーンと綱吉の騒がしい会話――だいたいは仕事に関するやりとりであったが、寝坊した綱吉をリボーンが蹴りながら叱りつけている場面にも出会うことがある――が聞こえてくるはずだったが、扉の向こう側は静かだった。 「失礼します。――十代目、そろそろ朝食の時間になります。ご用意はおすみでしょうか?」 声をかけながら、扉をノックする。 「はーい、……なか、入っていいよー」 中から、間延びした返事が聞こえた。 獄寺は「失礼します」と言ってから扉を開けた。入ってすぐはソファやテレビがおかれたリビングのような作りになっている。ソファの近くに立っていた綱吉は、ブラックのスラックスに白いワイシャツをあわせ、首には無造作に赤と黒の細かいストライプ柄のネクタイがひっかけられている。髪はまだ整えていないのか、――彼の髪はもとから癖毛であったにせよ――毛先がぼさぼさと乱れている。 獄寺を見た彼は、口元だけで笑って少しだけ頭を左へかたむける。 「おはよ……。獄寺くん」 「おはようございます。十代目――、あのう」 獄寺は綱吉の顔を眺めながら、控えめに発言する。 「昨晩、お休みになられましたか?」 「うん。ぐっすり」 言いながら、綱吉はおぼつかない手つきでネクタイを結び始める。明らかに眠っていない様子だ。獄寺は大股に彼へと近づいていって、襟元をいじっている綱吉の手からネクタイを優しく取り上げる。 「失礼します」 一応は一言断ってから、獄寺は綱吉の襟元にネクタイをセットし、手早くきれいにネクタイを結んでいく。彼はぼんやりと目を伏せて獄寺の手元を見ている。 「今朝はリボーンさんは不在なんですか?」 「ああ、あいつはね、昨日の夕方からちょっと用事で――今日の夜まで不在」 「そうですか」 綱吉が言葉を濁したということは、リボーンの本来の仕事――殺し屋としての――を遂行しているのだろう。 ネクタイを結び終え、獄寺は一歩後退した。 綱吉はソファのせもたれに放られていたスーツの上着に袖を通して、襟元を両手で正すと、適当に髪型を指先ですいてととのえる。元から癖毛の彼の髪は、それだけでも充分に整ったような印象がした。 「今日の予定、週間スケジュールと変わりない?」 「いえ。少々変更があります」 腕時計をした腕を見下ろし、綱吉は顔の片側で笑む。 「食事の時間に遅れそうだから歩きながら聞くよ。――行こう」 歩き出した綱吉から半歩ほどの間合いをあけ、獄寺も歩き出す。部屋を後にして、食堂に向かうために廊下を歩きながらスケジュールの変更点を告げる。 「変更は一点だけになります。夜に予定されていたグランツオーネの娘さんの誕生パーティですが後日に延期になりました。日程はまた後ほど連絡がくるようです」 「え、……誕生パーティの、延期?」 「――表向きは娘さんの体調不良とのことですが、どうやらファミリィの男とすでに恋仲らしくて、昨日、妊娠していることが発覚したらしいんです。……それで少々ごたごたしているので、パーティなどしている余裕などないようです」 「……そりゃあ、パーティなんて出来る訳ないよね」 「プレゼント、腕時計にしておいて正解でしたね」 「そうだね……。食べ物とか、日持ちのしないのだったら大変だったかも……。――相手の人って幹部とかなのかなあー?」 どこかぼんやりとした喋り方をする綱吉の横顔をちらちらと眺めながら、獄寺は答えた。 「いいえ、幹部ではありません。幹部候補にもならない、まだ下っ端の若い男だったようです」 「……ふぅん……」 相づちをうちながら、綱吉は螺旋階段を下り始める。今にもふらりと足を踏み外しそうな綱吉の腕をいつでも掴めるように、獄寺の左腕はわずかに持ち上げられていた。 「相手がどうかしましたか?」 「……どんな人なのかと思って」 「なにか、気になることでも?」 階段を降りきった彼は、まだ一段ほど階段の上にいる獄寺を振り返る。驚くことに彼の顔にはいつもの笑顔はなく、少しだけ寂しそうに口元だけで笑った。 「ドンの娘を愛するっていうリスクを省みないで、愛に生きた人がどんな人なのか、知りたいなと思ったんだ……」 なぜだか獄寺は胸が痛んで息がつまった。 獄寺が何かを言う前に綱吉は向きを変えて歩き出していく。その背中と獄寺との間に透明な壁が生まれたような気がして、焦燥感にかられて歩幅を広くして彼に近づく。 「十だ、い、め――」 刹那、綱吉の身体が前方へと傾いだ。彼の腕が壁を探すかのように空中を彷徨う。 「十代目!!」 獄寺は床を強く蹴って前方へ倒れゆく彼の腕を掴んで強く引く。獄寺の身体にぶつかるように綱吉の身体が飛び込んでくる。衝撃によろめいたものの獄寺は倒れなかった。すぐに腕の中の綱吉の顔をのぞき込む。 「十代目!?」 目を閉じた綱吉の顔は青白い。瞼がかすかに震えるように持ち上げられる。 「十代目、十代目? 大丈夫ですか?」 獄寺の問いかけに、綱吉は深く眉間にしわを刻んだ。 「――気持ち、わる、い……」 「失礼します」 言うが早く、獄寺は綱吉の身体を両腕で抱き上げた。いくら獄寺といえど、普段ならば成人男性を両腕で抱き上げることなど相当無理をしなくては出来ないことだった。しかし、相手が綱吉であることや彼の容態が気にかかっていることもあり、多少の無理を感じながらも獄寺は彼の身体を両腕で抱える。 獄寺は出来るだけ腕を揺らさないように努めながら階段を上った。腕のなかで綱吉は目を閉じている。その右目の縁に涙が溜まっているのが獄寺の目に映った。 「すぐにシャマルを呼びますから。すこしの辛抱ですよ、十代目」 「――うん」 返事をした彼の右目の縁から涙が一筋落ちていくのを見たが、獄寺は無言のままで階段を上がりきった。 |
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別棟にあるシャマルの診察室を出た獄寺は、別棟と本邸と繋ぐ短い回廊を足早に歩いて、綱吉の私室へ向かった。 診察中は部屋から獄寺は追い出されてしまったので事実かは分からないが、シャマルの口頭での診察に綱吉は初めは嘘をついたらしい。どんな理由で嘘をついたのかとシャマルにしつこく問いかけてみても、「守秘義務だ」と口をつぐんで教えてはくれなかった。 結局、綱吉は極度のストレスから不眠症になりかけており、そのことで体内器官が異常をうったえた結果だったようだ。特に生命の危機に陥った訳ではないことに獄寺は心から安堵する。 彼がいなくなる絶望など生きているうちに知りたくはない。 焦る気持ちを抑え、獄寺は階段を駆け上った。大股に歩幅をとりながら、何度も何度も通い慣れた綱吉の私室へ向かう。 たどり着き、目の前のドアをノックする。応答がないのは、ドアの向こうがリビングだからである。獄寺はドアを開いて中に入り、右奥に位置する寝室のドアを再度、上品にノックをした。 「はい」 中から返事が返ってきたが、それは綱吉の声ではなかった。 「失礼します!」 ドアを開いて入室すると、綱吉のベッドに腰掛けている六道骸と視線が交わった。骸は優越に満ちた視線をすぐに獄寺からそらし、大きなクッションを背にあてて上半身を起こしている綱吉ににっこりと笑いかける。 「では、綱吉くんはゆっくりと休んでください。今日の仕事はすべて守護者たちで手分けしてこなすことになりましたから――」 「なんだと? てめぇらだって仕事があるだろうが。誰が勝手に割り振りやがった」 「僕が一人で決めた訳じゃあありませんよ。――主に割り振ったのはランチアですけど、だいたいは守護者達の間で話し合って決めました。右腕のあなたがやるべき事だとは思いましたが、かなり混乱していらっしゃるようでしたし、シャマルのとこに向かったことは知ってましたからね。勝手にさせていただきました。あなたの今日のスケジュールからみて、負担できそうな仕事がありませんから、通常通りに仕事をしてくださって結構ですって、ランチアが言ってましたよ」 「養護施設の建設に関する地元のお偉方との打ち合わせには誰が行く?」 「山本が部下達と向かいますって」 「午後の葡萄畑の視察は?」 「雲雀とその部下達で」 「ベアッツィのボスの見舞いには?」 「クロームとランチアが午後に行く予定ですよ。了平は他ファミリィの人間と接触して諜報活動をする合間に、孤児院の見回りに向かうそうです。ランボは貧民街の治安について情報収集が終わり次第、急遽キャンセルになった誕生パーティのかわりとは言ってはなんですが、――同時刻に開催されている北部のファミリィの若い連中が開いている晩餐会へ出席できるように手配してみました。彼はそちらに向かってもらいます。幹部が未成年の彼一人ですと体裁も悪いですし、あなたの姉とクロームも同行するように勝手に連絡をして都合をつけてもらいました。たまには子供と女をパーティに参加させて、他ファミリィの思惑や反応を探るのもいいんじゃないですかねえ? 彼も彼女たちも美麗な見た目に引けをとらずに有能なんですから、良い情報を仕入れてくるに違いありません」 獄寺は黙って骸の話を聞いているしかなかった。どこにも非の打ち所がないスケジュールだ。そこに獄寺が口を挟む余地は残されていない。何も言えない獄寺を愉悦に満ちた目で眺めたあと、骸はベッドから腰を上げて立ち上がる。 「ではでは、僕はこれから千種たちとトリノに大掃除をしに行くので、これで失礼しますよ。寂しくなったら電話をください。どんなときであろうと、あなたからの電話ならば僕は必ず出ますからね」 「――ありがとう、骸。気をつけて……」 苦笑する綱吉の髪に指先で触れながら骸は囁く。 「いってきます。綱吉くん」 そう言って綱吉に背を向けた骸と獄寺の目があう。彼は目線で部屋の外に出るように示した。獄寺は一度、ベッドの上の綱吉に視線を向けたが、彼は骸の視線の動きには気がついていないらしく、近づいてこない獄寺を不思議そうに見ていた。 「すみません。こいつと話があるんで、少しだけ失礼します」 「あ、……うん」 綱吉が頷く頃には、骸はドアを開けてリビングへと出ていった。不機嫌になっていくのを感じながらも、獄寺は綱吉に深々と一礼をしたあと部屋を出た。 |
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「少しは落ち着きましたか、スモーキンボム」 私室のドアを閉めていた獄寺の背中に骸の声が突き刺さる。 振り返れば、彼は向かいの廊下に背中を預けて立っている。綱吉に対しては決して見せることがないような、嘲笑に満ちた表情で獄寺を睨んでいる。 「こういうときにあなたが混乱していると、下の人間が余計に混乱しますよ。あなたは昔から短絡的で感情を外側に表しすぎです。成長するつもりがないようでしたら、僕がその首を掴んで舞台から引きずり下ろしてあげますよ。もともと目障りで仕方がないんですからねえ」 「――てめぇなんかに俺がやられるか、クソが」 「まだ二十年と少ししか生きていないガキが、六つの輪廻を巡った僕に対してずいぶんと生意気なことを言いますねえ。……とにかく、綱吉くんの変化に気がつけなかった僕もあなたも同罪だ。死にたくなるほど後悔してます、ああ、なぜ気がつけなかったのか――、過去の自分を殺してやりたいくらいです。ねえ、あなたもそう思いませんか?」 「……殺せるもんならな、殺してみやがれ」 「おや、よろしいので?」 右手首を奇妙に踊らせた骸の手に三又の槍が現れ、色の違う双眸が殺気でつややかに輝く。獄寺も反射的にスーツの内側に仕込んでいるコンパクトサイズのダイナマイトを掴んで引き出そうとした刹那――、 「骸、よせ」 廊下の奥の方から声がかかる。 獄寺は指先をスーツの内側にしのばせ、骸を睨みつけていた視線だけを動かして声のした方向を見ると、ランチアが苦い顔で近寄ってくるところだった。彼は骸と獄寺の間に立ち、双方を眺めたあとで、骸を睨んだ。 「武器をしまえ」 「これはこれは、ランチア! どうかしたんですか?」 大げさな仕草で驚いたふりをした骸は、言いながら手にしていた槍を消失させる。獄寺も仕方なく、持ち上げていた腕をおろしたが、いつでも反撃できるように油断だけはせずに骸とランチアを見ていた。 ランチアは右手に持っていた封筒を胸元まで持ち上げて言う。 「おまえが封筒を忘れていくから持ってきたんだ。これが手配書だ。くれぐれも許可が出ていない人員の生命を奪うことはないように――ボンゴレが気に病む」 「分かっていますよ。僕が綱吉くんの嫌がることをするとお思いですか?」 「おまえはいつだって自分がしたいようにしてるだけだろう。――表で千種と犬が待っている、早く行け」 「ランチア。僕のご主人様を守っておいてくださいね」 「――行け」 苦い顔をするランチアを面白がるように眺めたあと、骸は二人に背を向けて歩き出した。一度も振り返ることなく、彼は廊下を曲がって姿を消す。 ランチアが嘆息をついて肩を下げる。彼の視線が気遣うように獄寺を見た。 「……なんだよ………?」 「気を悪くしていないか?」 「だから! 何のことだっての」 「俺が勝手に仕事をみんなに割り振ったことだ」 「……ガキじゃねえんだ。そんなことにいちいち腹をたてたりしねえよ」 笑って言った獄寺を、ランチアはまだ何か言いたげに見つめてくる。彼は過去のこともあるせいか、他人と接することに関しては気が弱く、決して強気になることはない。獄寺のように気性の激しい人間を相手にしている場合、口数は少なくなっていく。雲雀に対しても、彼はぎこちない対応をしているのを何度か目撃したことがある。 「まだ何か用かよ」 苛立って獄寺が問うと、ランチアは腕時計をちらりと確認をして答えた。 「おまえは今日は、部下達を連れて街の視察に行くんだろう。時間は平気なのか?」 「てめえに言われねぇでもそうするさ。だいたい、てめえは非常時以外は非戦闘員扱いなんだから、大人しく屋敷で金数えでもしてろってんだ。のこのこ敷地外に出て他ファミリィのボスの見舞いなんて行くんじゃねえよ。てめえはまだ有名人なんだからな、よけいな埃をつけてこの屋敷に戻ってくることになるかもしれねえだろ、そんなことになったら、てめぇ、十代目になんて詫びいれるつもりなんだよ? ったく、油断すんじゃねえぞ」 まくしたてた獄寺に対して、彼は少しだけ微笑して頷く。 「ああ、分かっている……、気をつけているさ」 骸の操られていた過去の出来事のせいか、彼は戦いたがらない。それでも綱吉が彼をボンゴレファミリィの一員にしたのは、彼の戦闘能力ではなく、彼の性格や周囲の人間たちの関係をうまく取り持つ、彼の穏やかでおおらかな存在感からかもしれなかった。非戦闘員とはいっても、綱吉に危機が迫れば彼は戦うことをためらわない。ようするに守るべきものを守るためにならば拳を振るうという、まさにヒーローのような男なのだ。 獄寺としても彼の存在はありがたかった。仕事の関係で獄寺が屋敷を離れている間も、北イタリア最強の男が、常に屋敷のなかにいるという安心感がある。 「敷地外のことはおまえ達守護者に任せておくから、敷地内は俺に任せておけ。――そういえば、どうせ骸の奴にボンゴレとの会話を邪魔されたんだろう? 話す時間くらいはあるだろうか、俺は席を外している。出発する時に携帯電話で知らせてくれ。……じゃあな」 「――ランチア」 背を向けて歩いていこうとする彼を呼び止める。 彼は振り向いて獄寺を見た。 「十代目を頼む」 ランチアは右腕を胸の前に掲げる。 「任せておけ」 |
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私室のリビングを通り抜けて寝室のドアをノックし、綱吉から返事をもらってから獄寺は入室した。 綱吉は、獄寺が部屋を出たときと同じように、大きめなクッションを背もたれにして上半身を起こしていた。シャマルの処方のおかげか、倒れた時よりも顔色はよく、苦しそうな様子はうかがえない。獄寺はホッとして肩から力が抜ける思いだった。 「驚かせてごめんね」 ベッドサイドにあるスツールに座り、獄寺は首を振る。 「いいえ。――ご気分は?」 「すこし寝たから……。シャマルの処方のおかげか、多少すっきりしたかな」 「落ち着かれたようで安心しました。あの、すみません、十代目。実は、十代目のスケジュールを確認するために執務室に入室した際に――」 そこまで言うと、綱吉は苦笑して肩をすくめる。 「ああ、……みつかっちゃたのか」 「あの資料の仕上がり方からみて、どんなにスケジュールの合間を利用して書類を仕上げようとしても、一昨日から寝ないで作業しなくては仕上げられない完成度です。どうしてそんな無茶を――」 「一人でも多く子供達を助けたいからね」 「その気持ちは尊く立派なものですが、あなたご自身のお体のご心配もなさってください」 「……心配した?」 「ええ、しました」 微笑んでいるものの、綱吉の両目は探るように獄寺を見つめている。 じわりじわりと獄寺の心に訳の分からない緊張の波紋が広がり始める。動揺を悟られないようにうすく微笑したまま、獄寺は首をかしげた。 「どうか、しましたか?」 「手、握って」 「はい」 差し出された綱吉の左手を、獄寺は両手で包むように握った。彼の手は驚くほど冷えていて、獄寺は心の中でぎょっとする。 「――ねえ、グランツォーネの娘のことを聞いてどう思った?」 「え」 「ボスの娘はさ、どうして身分違いの男を愛して、妊娠までしたのかな?」 「それは、愛してたからじゃないでしょうか?」 「ボスに分かったら殺されるかもしれないのを、きっと娘も男も知ってたのに、愛だけですべてを忘れられるほど、二人は若かったのかな?」 グランツォーネの娘は誕生日が来れば十七歳――、相手の男は二十代半ばで孤児出身の気の弱そうなマフィアには向いていなそうな男だった。男は組織に捕らえられてはいるものの、生命までは奪われてはいない。男を殺したら娘も死ぬと言い続けているため、憤怒しているボスとしても男を抹殺することができないのだった。 死をもいとわない愛といえば、響きは良いが、結局は彼らが周囲から祝福されることはおそらく未来永劫訪れず、二人が共に歩める確率も羽のように軽いだろう。 「悲劇にしかならなくても、愛って止めることができないのかな?」 「……十代目、何故、そこまでグランツォーネの娘のことを気になさるんで――?」 綱吉は獄寺の手を握ったまま、じっと獄寺の目を見つめて囁く。 「獄寺くん」 「はい」 「君だったらどうする?」 「……はい?」 「君がもし、周囲から反対されたり非難されたりするような相手を好きになったらどうする?」 透き通っているような声音で綱吉が言った。 彼と繋いでいた手が震える。 獄寺はとっさに身を引こうとして止めた。 手を振り払って逃げ出すことが最前の策のように思えたが、綱吉の手を振り払うことなど獄寺に出来るはずはない。 綱吉は黙って獄寺の返答を待っている。 獄寺は呼吸を繰り返す。 頭のなかに浮かんだ言葉のどれもが不適切だった。 思いついた言葉を素直に口にすれば、今まで築き上げてきた彼への想いすべてを粉々にうち砕くには充分だ。 獄寺が視線を彷徨わせているうちに、我慢ができなくなった綱吉が息を吸い込んだ。 決定的な何かを言われる前に、獄寺は彼の言葉を遮る。 「十代目、……駄目です」 開きかけた口を閉じ、綱吉は眉を寄せる。 「なにが、駄目なの?」 「あなたがおっしゃろうとしている言葉を、俺は受け取ることができません」 「言葉にしても君には届かない?」 「言ってはいけません。あなたはボンゴレの十代目。ただの守護者の俺とは違う尊き獅子の血を引くお方。言葉にしてはいけません。俺とあなたの絆の名前をどうか、書き換えないでください……」 「やっぱり、獄寺くんは十代目じゃないオレは必要じゃないんだね。ただの沢田綱吉のオレは嫌いなんだ」 「違います! あなたがあなただから、俺はあなたに付き従う道を選びました。嫌っているなんてことは絶対に、絶対にありえません」 「愛している?」 獄寺の手を掴んでいる綱吉の手に力が入る。今にも逃げ出してしまいたい衝動を抑えながら、獄寺は力無く左右に首を振りながら視線を床へと落とす。 「……十代目、……勘弁してください」 「身分違い? そんなもの、ただの結果にすぎない。血も関係ない。オレはオレで、君は君だろ」 「……十代目……」 「おれは神様でも天使でもないんだよ。人間なんだ。おれは誰かひとりを愛しちゃいけないの?」 「そういう訳ではないんです。――お願いです、俺は、」 唐突に綱吉が獄寺の手を振り払った。 驚いて言葉も出ない獄寺をよそに、綱吉は両手をベッドカバーの上にのせ、静かに語り出す。 「君に見合いの話がきた」 「え」 「同盟ファミリィのお嬢さんだよ。まだハイスクールに通ってるけど、今期で卒業だって。短大に進学する予定だったらしいんだけど、君が良ければ結婚して家庭に入ってもいいんだって。お嬢さん、パーティで君を見て一目惚れでさ、父親も乗り気でね。まあ、守護者と娘が結婚すればボンゴレとさらに強い絆を作るには充分だから無理もないだろうけど、顔合わせのディナーの日取りは三日後くらいに設定しようか。準備もあるだろうしね」 「十代目、待ってください――」 「君は結婚するんだ。おれが許可する」 「いえ、俺は身も知らぬ女と結婚なんて――!」 「さっきの続きになるかもしれないけれど――」 叫んでいるような獄寺の声とは対象的に、綱吉の言葉はひどく静かだった。声音の静かさが彼の本気を物語っているような気がして獄寺の恐怖は増していく。 綱吉は組んだ両手を立てた膝のうえにのせた。瞳が動いて獄寺の顔を見る。 「オレは人間だから、欲しいものが目の前にあれば手に入れたいって思うんだ。でも、それはオレが触れようとすればするほど、遠ざかっていく――。目の前にあるのに絶対に手に入らないのなら、本当に手に入らないようにしてしまいたいんだ。言っている意味、わかるよね?」 「十代目の仰りたいことは理解できますが、しかし、ご結婚はお断りします」 「拒否は受け付けない。君は結婚して家庭を持ち、生まれてくる子供の父親になるんだ」 「十代目、俺は!」 「君が態度を変えてくれなのなら、君には結婚をして家庭を持ってもらうしかないんだ。『このまま』の状態が続くなら、オレはきっとおかしくなっちゃうよ……」 綱吉は組んだ両手に顔を伏せる。微かに震えている彼の肩に獄寺は触れることができなかった。 愛していると言葉にしてしまえば、すべては綺麗に収まるだろう。 しかし、『言葉』にしてしまうことで、失われる何かがある。それは敬虔なクリスチャンが神を愛していながら、人間を愛すことに似ている。 「……眠れなかったのは、資料のせいではなかったんですか?」 「ああ、あれは……。いろいろ考えてたらね、眠れなかったから。片手間に作業してたらあそこまで作り上げちゃっただけ」 伏せていた顔をあげ、綱吉は獄寺を見た。 「結婚するんだ、君は」 「いいえ。俺は結婚しません」 「君は酷い奴だ」 「すみません。でも、俺は結婚はしません」 「何故? どうして? 理由は?」 「俺のすべては、あなたに捧げるためにあるからです。あなた以外に捧げるべき人間などいません」 「君のすべてはオレのものってこと?」 「はい」 「君の身体も君の心も君の感情も君の人生も、オレのもの?」 「はい」 「じゃあ、君の本当の言葉を聞かせて」 「――それは」 「君のすべてがオレのものだと言うのなら証明してみせて。オレが聞いてるんだよ? 君の本当の言葉を聞かせて。そうしたらオレはこれ以上、手が届かないものに手を伸ばさないですむんだから……」 獄寺は息を吸い込んでみたかが、言葉は出てこなかった。長年の間、降り積もった想いは確かに心の底に深く深くあるというのに、口にすると途端に浅はかで愚かなものに成り下がるような気がして言葉にならない。 綱吉の瞳が静かに伏せられる。 「こんな脅しみたいなことして、君を困らせて、ほんと、馬鹿みたい……」 「な、……泣かないでください」 綱吉は寂しそうに笑う。 「泣かないよ。もう子供じゃないんだから」 確かに泣いていなかったが、今にも泣き叫びそうな危うさが目元の辺りに揺れている。獄寺は考えるよりも早く、反射的に言った。 「あなたに触れても、いいでしょうか?」 綱吉の目が軽く見開かれる。 失言をしたと思っても今さら撤回する訳にもいかない。 「お許しを――」 綱吉がおそるおそると左手を差し出した。獄寺はスツールから立ち上がり、絨毯の上に両膝をついて、大事そうに綱吉の手を両手で包むようにした。こわばっている彼の手を優しく握る。 「十代目。俺にとってあなたは世界で、あなたがいなければ俺の世界は終わってしまします。どうか、俺をあなたの側においてください。結婚だなんて突飛な事、おっしゃらないでください」 短く息を吐いて、綱吉は顔をしかめる。 「オレはね、我が儘でどん欲だから君が欲しい。……だって、おかしいじゃない? 君だって、オレを――好き、なんだよね? それとも、オレの思い込み? 勘違いならそう言ってよ。馬鹿だって笑ったっていいからさ」 「……笑ったりなんかしません……」 「ねえ、愛されてるのに、愛してるのに。どうして抱きしめあえないの?――オレたちの間にあるものって、いったい、なに? なんなの!?」 悲鳴のように叫んで綱吉は苦しげに目を閉じる。 愛しい人を苦しめているのが自分自身だということに、獄寺は今更ながらに気がついて胸が苦しくなった。理性よりも感情が勝り、気がつけば、獄寺はベッドに膝でのりあげ、綱吉の身体を抱きしめていた。彼の肌になじんでいる香水の匂いがした。 「ご、くでら、くん?」 腕の中の綱吉が、躊躇いがちに獄寺の名を呼ぶ。 それだけで獄寺は打ち震えるほどに幸福を感じ、同様に複雑な葛藤がこみ上げてくる。両腕を綱吉の背中に回したまま、獄寺は落ち込んだ声でつぶやく。 「……もう、おしまいです……」 「え。――どういう、こと?」 「俺はずっとあなたを想っていました。こうして触れてしまえば、……きっと冷静でいられなくなることくらい、もうずっと、ずっと前から思っていました。だから、俺はあなたに触れないようにして耐えていたのに。もう、おしましです――」 「耐えるって……。それにどんな意味があるの?」 「十代目の偉大さをもっと世の中の人間に知らしめるためには、十代目がご活躍され、よりいっそう注目を浴びねばなりません。もしも、俺があなたを手に入れたとしたら、多くの人間の目にさらしたくなんてありません。……そういうもんじゃありませんか?」 「とりあえず――オレは君に触ってもいいんだね?」 「……あなたが触れてくださるのならば」 「獄寺くんはずるい。全部、俺の意志に任せちゃってさ」 「ずるい、ですかね……。でも、俺はあなたの好きなようにしてくださることが、幸せなんです」 抱きしめている腕をゆるめ、獄寺は乗り上げていたベッドから降りて再び床の上に片膝をついて座り込んだ。その様子に綱吉は苦笑していたが、文句は言わずに左手を差し出す。獄寺は手のひらを上向けて彼の手をとって、綱吉を見上げた。 「……お見合いは破談にしていただけますか?」 「オレが望んだ結果とは違ったけど、……断っておくよ」 「そう聞いて、安心しました」 笑う獄寺につられるように綱吉も苦笑しながら、つないでいる手を指と指を組み合わせるようにつなぎ直す。がっちりと掴まれた手から伝わってくる綱吉の体温と確かな存在感に、獄寺の心音は高鳴るばかりで、震えだしそうなくらいだった。目を伏せて幸福を味わっていると、綱吉が穏やかに声を立てて笑い出した。呆れるように息をついて、彼は片目を細める。 「君のその態度は、もう染みついちゃってて治らないようだしね……。仕方がないからオレがどうにかするしかないかなあ」 「へ、え?」 反応の遅れた獄寺の手を綱吉は思いきり強く引いた。思わず腰を浮かせた獄寺はバランスをとるためにベッドに片手をついて体勢を保った。気がつけば、綱吉の顔が鼻先寸前にまで近づいている。息を呑む獄寺の前で綱吉は目を閉じた。まつげが頬に影を落とす。 綱吉は動かない。 獄寺は動けない。 「……いや、あの、えーと、ですね……!」 姿勢は固定したまま、獄寺はもごもごと口の中で呟いたが、視線は綱吉の唇から外すことは出来ない。あとほんの数センチ、顔を近づけるだけで唇に触れることができる。口の中の唾液を飲み込んでいる間も動けない。様々な思いと葛藤がぐるぐると駆けめぐり続ける。 綱吉が目を開いた。 獄寺は呼吸を止めて唾を飲み込む。 脱力するように息を吐いた綱吉は仕方がないといったふうに顔をしかめ――、口を開いて舌を出した。とっさに獄寺は綱吉の目を見た。彼は双眸を細めて笑う。魅惑的に開いた唇と誘うような赤い舌を前に、いくら獄寺でも理性の限界だ。 「……キス、してもいいですか?」 震えるように問うと、綱吉は片目だけを閉じて頷く。 吸い寄せられるように獄寺は綱吉の唇をふさいだ。 味わうように何度も口づけをかわしあう。 これまで盲目的なほどに信仰してきた『十代目』が、『沢田綱吉』として目の前に現れたような気がして――。 獄寺は愛しさに任せて目の前の彼の身体を両腕で抱きしめた。 |
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『End』 |